2011/06/29

オフィスのあり方・働き方について5つに分類して考えてみた

以前、Coworkingスペースについての記事を書いたのが、それと同時に日本におけるオフィスのあり方や作業スペースのあり方、個人や団体での働き方についてじっくりと考えてみた。
いまの時代において、今後ますます多様化してくるであろう働き方やそれを補ったり促進したりするための環境をつくるためにはまずは整理してみることから始めてみないと始まらない。

シェアオフィスって?
Coworkingって?
という意見もまだまだ多いので、これが少しでも参考になればと思う。
おそらくこの5つに、今のところ分類できるのではないだろうか。
もちろん大まかな分類なのでこれがすべてではないが、代表的なあり方についてまとめてみたので、何かしらの指標にはなると思う。

1.オフィス
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建物を一企業が借入、もしくはフロア単位で企業が利用して日々の作業を行う。
基本的にその企業内で業務作業が完結されることが多い。
一般的な企業の多くはこのカタチだと思われる。
社員何千人もいる企業だと、同じ会社であっても、顔が分からないことや、隣の事業部すら活動を把握できないこともしばしばあると思われ、そのための総務的な環境整備や、社内広報などに力をいれる必要性もあると思う。

2.ノマドワーク
ノマド
自前のオフィスをもたず、カフェなどインターネット環境のあるところをベースに活動。
また、他社さんや他の事業社のオフィスの一角を間借りしたりする人もいる。

基本的には個人単位での行動や活動がベースで、プロジェクト単位での業務の受注や、業務委託契約などで仕事を行う人が多い。
フリーランスなどの個人事業主などでこのスタイルをとっている人も少なくなく、Twitterなどでよく別のカフェに移動したりしている様子や、打ち合わせで通い慣れた行きつけのカフェにいたりなどが散見される。

最近少しづつ、フリーでの働き方などが日本でも多くなってきてはいるが、やはりまだまだフリーの人たちが活動しやすい環境が整っているとは思えず、特に日本ではネット環境がまだまだ隅々まで整っていないのが現状である。
環境の改善と、フリーランスという働き方というあり方と、両方が今後ますます高まっていければと思う。

3.自宅オフィスワーク
自在的角落
ノマドで外で仕事や打ち合わせをよくする人と違い、自宅にて作業スペースを設けて作業する人も多い。
家事との両立や、デザイン、アーティスト、作家などの事業を行っている人に多くみられ、外への移動よりインドアでの活動がメインで活動していると思う。
また、ネットをベースにやりとりを行い、個人での活動がベースかもしくは自宅にスタッフを呼んで作業をすることが多い。
打ち合わせで外に出ることもあるが、基本的にコミュニケーションの多くもメールやSkypeなどでの通話が多いのではないだろうか。

4.シェアオフィス
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最近少しづつ増えてきたシェアオフィス。
様々なバリエーションがあると思うが、多くは一つのフロアや空間にパーテーションや仕切りなどを設けて複数の団体、企業などが空間を利用して業務を行っている。

基本的には建物の運営元がいて、その運営元との契約によって単年や複数年契約を結んで入居の賃貸料を支払利用するのが多い。
またこの中で、1.シェアオフィス単体と、2.シェアオフィスとコミュニティが混在しているパターンの二つがあると思う。
ビルの中でのとあるフロアにおいて、複数の企業で共同で利用してシェアしていたり、建物全体がシェアオフィス利用として建てられているものもあると思う。
2.においては一階や他のフロアに運営元などが展開する展示スペースやカフェスペースなどを用意し、一般の人も出入りできるような空間を用意しているものが多く、定期的にイベントを行うなどしている。

最近だと、ボクが以前利用していたアーツ千代田3331や、池尻にあるIID世田谷ものづくり学校、浜松町の近くにあるTABROIDなど、元々あった建造物を利用しその雰囲気やよさを活かしてリノベーションしシェアオフィスや活動拠点にするなどの新しい展開も見せている。

5.Coworking
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そして、前回Dogpatch Labsを紹介させていただいたCoworkingというあり方。
「シェアオフィスとなにが違うのか」
という意見や議論もあったりすると思うのですが、とりあえずボク個人の意見でまとめさせていただきます。
シェアオフィスとCoworkingの違い、個人的には”入居者や参加者同士がコミュニティ化されているか”と思います。

シェアオフィスのように、同じ空間を利用していればもちろんすれ違ったりなどで挨拶やちょっとした休憩などで話したりすることも多いと思いますが、基本的には仕切られた空間において、それぞれがそれぞれの作業を行っていて、他の団体と仕事で一緒になることもある可能性もあるけど基本的には団体同士の自主性に任せられると思います。
オフィスをシェアしているけど、隣の団体がどういった仕事をしているか、明確に理解していない人だって場合によってはいたりすることもあります。
シェアオフィスの運営元は、建物の管理など基本的には第三者的立ち位置をとっているのが一般的だと思います。

でもCoworkingは、まず基本的に仕切りなどがありません。
隣の席に別の団体や事業者がいることだってあります。
なので、参加者同士のコミュニケーション隣の人に話しかければ簡単にできますし、積極的に行うこともできます。と、同時に、それらを含めた参加者同士のコミュニティが形成され、お互いに仕事や業務に対するアドバイスやフィードバック、 人の紹介などコミュニケーションから生まれるつながりによって仕事を円滑にしていきます。

もちろん、それらを円滑にするためには、ある程度オーガナイズする人も必要です。
始めてきた人に対してウェルカムな姿勢をとり、参加している人らを紹介して円滑にコミュニケーションするための場のデザインをする必要があります。

つまり、ただ作業をする場所という考えでなく、そこにいる人達によってコミュニティが生まれ、お互いがお互いを活きるようなやりとりを行うことによって、互いの業務を高め合うことが目的です。

そのため、参加・入居するにも、誰でも参加可能なものと、契約や事前の審査などが必要なものとに分類されます。
誰でも入居可能なスタイルは、Jelly! – Casual coworking is awesome. http://wiki.workatjelly.com/w/page/12752859/JellyInSanDiego などのように、誰でも気軽に参加して、そこに行けば誰かに出会えて刺激をうける、そんな場の空間がデザインされています。

かたや、事前の審査としてThe Hub http://www.impacthub.net/ などのように社会起業を視点としたビジネスを行う人たちをメインに参加者を構成することで参加者同士のネットワークを構築していくものから、サンフランシスコで訪れたDogpatch Labsなどのように、スタートアップ起業などを中心としたコミュニティなど、特定の業態やクラスターを中心に構成することで、互いにとって質のいいコミュニティを維持するなどがあります。

併せて利用に際して、金銭的な問題があります。
jellyなどのスタイルは、一回参加さるたびに一定の料金を支払うシステムですが、例えばHubは契約による月額での利用料が発生します。Dogpatch Labsなどのように、VCが出資をすることで利用は無料な場合もあります。もちろん、VCが出資をしているため、出資をした団体が成長し株式公開に際して一定の株を保有するなどの契約事項はあると考えられます。

また、jellyなどは、基本的には毎週木曜や突発的なものなど、定期不定期での開催があるのに際し、Hubなどは常に参加者なら誰でも利用可能は状況を作っています。24時間出入り自由な場合もあり、昼夜問わずサービスに関してメンバーが議論したり作業を行っています。

また、HubやDogpatch Labsなどの場合は、参加している起業のうちいくつかがサービスや事業が途中で頓挫したとしても、互いに良さや強みを知っているため、自社への引きぬきなど互いに生き残るためのコミュニティが生まれており、何度でも挑戦して日々新しいサービスを開発していく環境ができてくると考えられます。

Coworkingと言っても、まだまだ一概に言えにくいものもありますが、大きくは参加者同士のコミュニケーションを円滑にすることで、新しい出会いや発見などがあると考えられます。
また、仕切りなどがないということなので、スペースで見聞きしたものに対する業務的な守秘に関して、事前に契約や利用履行項目が必要なものもあります。

そういった意味で、カジュアルに参加できるものよりも、今後はある特定のメンバーによって構成されたコミュニティを形成し、互いに高め合う場を作ることによって、日々のサービス向上や新しい発想を生み出すことが促進できると思います。

しかし、そのためには運営元による峻別が必要になってきます。事前の審査や契約の際に、このコミュニティの質が高まるかどうか、参加する人のパーソナリティや特性などを事前にじっくり把握する必要性があるため、時間がかかることはネックかもしれませんし、運営元による、新しいサービスや発想に対する柔軟の視点や先見の目などがないと失敗してしまいます。
そういった意味で、運営者の能力や個性によって、場のあり方も変わってくると思います。それがいいものになるか悪いものになるか、ある意味で運営者の腕が問われるとも言えます。

オフィスの分類というか、後半はCoworkingの説明になってしまいましたが、まだCoworkingやシェアオフィスがどういったものか、理解されていないので、少し長くなってしまいました。
今後、フリーの方や一企業に囚われない働き方をする人が少しづつ増えてくる可能性があるなかで、どうやってその働き方が維持できるか、またどうやって新しい発想や過ごし方ができるか、ということをもっと考えていなかいといけないと思います。そんなときに、ここで少しまとめてみたものが役にたてばと思います。

また、特に後半の部分はまだまだ議論の余地の多いものです。
ボク個人的にはCoworkingスペースが日本にもっとできればと思いますし、それによって新しいものが日々生まれてくる世の中ができればと思っています。

2011/06/23

Coworkingスペースに行ってきた@サンフランシスコ

サンフランシスコのSOMA地区がいまIT・ネット業界で盛り上がってるところということで、その拠点にもなっているCoworkingスペースを紹介していただいた。

日本はまだまだベンチャーやスタートアップに対する環境が整っているとは思えず、これからまだまだ盛り上げることができると思っているし、そういう活動をしていきたいと思っている。
そのための場所として、Coworkingスペースは色々な人達の共創を生み出す絶好の場所の一つして注目をしている。
日本に帰ってきてこういう場所をつくりたいと思っているので、なにかしら刺激をうけれたらと思い、実際にサンフランシスコでも注目のCoworkingスペースにお邪魔してきました。

そもそもCoworkingスペースとは、シェアオフィスなどのような机貸しやオフィス設備の共同利用などと違い、机などに仕切りもなく同じ空間に異業種な人らと創りあげていくスペースやコミュニティのようなものであり、その多くが独立事業(フリーランスや一人会社)やスタートアップ企業、少人数のベンチャー企業などが多く利用しています。
また、同じ空間同士を共有し、時にお互いをアドバイスしあう、そんな共創が生まれる場所だと思ってもらればと思います。
まだまだ日本でもスペースを展開しているところも少なく、またCoworkingとは、という議論や定義自体もそこまで多くはないのが現状です。
そのあたりも、もう少し考えていかないといけない部分ではあります。

dogpatch labsにやってきた
ということで、サンフランシスコにもいくつかCoworkingスペースがあるのですが、その中でもすごくいいところをご紹介していただきました。

dogpatch labsというスペースをご紹介いただいたのですが、ここはかつてinstagr.amもスペースを利用して、ここでinstagramが誕生したというスペースでもあるそうです。

サンフランシスコの海岸線沿いにその場所があるところで、さっそく向かいました。

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海岸線が見えると、すぐにこういう景色が。だいたい、サンフランシスコの市内からここまで、歩いても15分とかそのあたりかと。
天気がほぼ毎日快晴なのがサンフランシスコの特徴。天気がいいので、ちょっと歩くくらいで頭もすっきりしてきます。

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そして、サンフランシスコ市内はバスや路面電車などの公共交通機関が発達していて、市内のいたるところでこういった路面を見かけます。

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そして、この右側に見える倉庫みたいなところがdogpatch lab。
海沿いにずっとかつての倉庫が立ち並んでおり、その倉庫を改装したオフィスやショップなどがサンフランシスコにはあり、かつての様相をそのままに上手くリノベーションしているなと感じます。

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倉庫の裏にいけばこういう風にすぐに海が見える景色は、作業に疲れたときのリフレッシュになるんだろうなと思います。
こういうのを見ると、日本みたいな高層ビルなオフィスとあまりに真逆すぎるなと実感すると同時に、こういったスペースでゆったりすることで新しい発想なども生まれるのかなと思います。

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これがdogatch labsの入り口です。
パッと見オフィスの入り口と分からないくらいです。

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中に入ると、こういう風に、郵便受けが設置してあります。

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で、これがスペースの入り口のドア。
dogpatch labsのシールと同時に、入居していたであろう団体らがシールを貼ったりしています。

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中の様子がこちらです。

机の仕切りもなく、あちこちでみなさん作業を行なっています。
それぞれがそれぞれに作業をしたり、休憩してリラックスしています。
また、ほとんどのCoworkingスペースがそうみたいですが、常駐でコーヒーやお菓子なども置いてあって、みんな思い思いに自分らのペースで作業を行っています。

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スペースの中央付近には、ダイニングスペースもあり、ここでみなさんお昼を食べたりしています。
また、設備としてホワイトボードなどもあり、定期的にスペース中央でカンタンなプレゼンも各自で行っています。
そのプレゼンというのも、サービスの実装デモができた、面白いアイディアができた、などを入居者同士でプレゼンし、お互いにアイディアをもらったりしています。
もちろん、堅苦しいプレゼンではなく、みんなドリンクやお昼を食べながらカジュアルに行っていて、気軽でいてそして素晴らしいフィードバックをお互いに提供しています。
このあたりが、コミュニティとしての楽しさ、共創の部分なのだと思う。

こうやって、毎日刺激をうけながらお互いに共創しつつ日々デモを行い修正改善してサービスを展開していく、まさにベンチャーやスタートアップの場所として快適な空間なのだと感じた。

またこのdogpatch labs は、VCが提供している空間であり、利用は無料(もちろん入居には要審査)だということで、資金面でも心配もそうですし、ここから生まれるネットワークやコミュニティは、今後のつながりとして重要になってくるのだと思います。

ただの場所貸しでなく、空間をデザインし、コミュニティをデザインする。

こんな場所を、もっともっと日本でも増やすことが大事だと感じた。

また、サンフランシスコ市内には多数のCoworkingスペースがあり、場所によって利用に違いがでてきたりなどそれぞれカタチが違います。
こちらに上手くまとめられているので、参考にしてもらえたらと思います。

【関連記事】
最近San Franciscoで話題のCo-working Spaceまとめ
http://blog.btrax.com/jp/2011/05/08/san-francisco-shared-space/


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